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2025.4.21
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《E住スタイル vol.2》 ~本と食料雑貨の店 ゆふぞら~

祖父江 恵理子(房総R不動産)
 

お店前にて。店主の結美子さんと娘さんがちらり

私たちは選んで買い物したい。何をいくらで買うかだけでなく、時々は「どこで誰から買うか」を意識してちゃんと買いたい。たまにはゆっくりとした気持ちで良いものを素敵な人から手渡しされたい。そう思いませんか?

外房・一宮町にある本と食料雑貨の店「ゆふぞら」は、それが叶うお店の一つだと思いました。美しい里山の中にそっと置かれた小屋にて月1回だけ営業しています。

店主 岸川結美子さんは房総R不動産の仲介で移住された方。移住の経緯やお店のこと、5月に参加する本のイベントについてお伺いしました。

4月初旬、椿の花びらが絨毯のよう。木々に隠れてこっそりと建つお店

移住のきっかけは房総R不動産でした

東京で暮らしていた結美子さんは、結婚を機に新たな住まいを探すため、当初は東京R不動産のサイトで家探しをしていました。ある日ふと房総R不動産の存在を知り、環境や金額の違いを見て「房総エリアもありかも」と思ったそう。それから東京と千葉を行き来して物件探しが始まります。建物をいくつか見てピンとくる出会いのない中で、土地ではと紹介されたのがここだったとのこと。

ちなみに結美子さんの出身地は青森で、千葉には縁もゆかりもなかったそう。房総R不動産との出会いで移住を決めたとは、スタッフ一同うれしさの極みです。

お店前の風景。外房・一宮町と言えば海のイメージが強いかもしれませんが、結美子さん達が決めたのは山側エリア

暮らしに余剰にならず良いものを

お店のきっかけを尋ねると、「いすみ市で長年、有機食品を扱っていた方から『自分は齢だからこのお店の続きをやってほしい』と託されたんです」とのこと。ここでも出会いが結美子さんの人生を動かします。

都内でオーガニック食品を扱う会社に勤務していた経験を活かして、はじめは月1回お店を間借りして販売する形態でスタート。その約1年後の2020年3月、自宅庭にお店を構えます。とはいえ月1回の営業ペースは変わりません。同時期にお子さんが生まれ、子育てと生活の合間にやっとできるのが月1回。

お店をやるなかで「お客さんと良い商品を分かち合えた時がとても幸せ」と結美子さんは話します。この言葉の通り、商品について尋ねるとにこにこしながら愛を込めて語ってくれます。オーガニックなものはよく知らないけど何かお試ししてみたいという人にも、お客さんの好みを聞いておすすめを提案してくれますよ。

店内の様子

お店の人気商品「豆料理キット」

小さな本棚1つだけの本屋

「ゆふぞら」のお店をさらに色濃いものにするのが本。結美子さんは「元々は家にこもって何もしないで本を読んでいたいタイプ」という本好きで、いつかお店に書籍を置きたいと考えていたそう。

本は千葉市の幕張にある本屋lighthouse※の協力のもと置いています。その本のセレクトがどれも良い。食や自然関係だけでなく、結美子さんが関心のある社会問題(特に差別問題)を切り口にしたエッセイ、小説、絵本やzineも置いてあります。1冊1冊じっくりと読みたくなる本。

※本屋lighthouse:No Hateのポリシーを掲げ、オーナー関口さん自身もその問題について発信を続けてきた知る人ぞ知る本屋
homepage https://books-lighthouse.com/

左:この小さな本棚にはきっとあなたに刺さる本があるはず 右:結美子さんおすすめの本

ブックトークカフェ「世界を閉じて 今日は本を開こう」

結美子さんは白子町にあるお店café fuchsia à côté de la mer(カフェ・フューシャ)で行われる5月のイベントで、ブックトークカフェの話し手として参加されます。テーマは結美子さんが考えたもの。最近は読めない日がほとんどだけれど……と前置きしながら「本の中に深く入りこむことでしか得られないものを掴みたい。深く考える力や、自分の言葉は、本の中にいる時間に培われると思う。そのために、時には思い切って現実の世界を(またはスマホを)閉じる強い気持ちを持ちたい」とイベントテーマの思いを話して下さいました。

話し手は他に、左藤玲朗さん(ガラス作家)、室谷佳澄さん(カフェ・フューシャ店主)、房総R不動産のスタッフ祖父江が参加します。詳細はコラム末尾のリンクよりご確認ください。


お話が終わって、近くの鳴戸川へ娘さんと一緒に連れて行って下さいました。清らかな小川のほとりを歩きます。地域の方々が草刈りし、丸太の橋がかけられ、心を込めて整備された鳴戸川に桜が咲きます。なんと豊かな場。お店と合わせてぜひ行ってみてください。あなたの世界をきっと広げてくれる小さなお店。

本と食料雑貨の店「ゆふぞら」

所在地:千葉県長生郡一宮町一宮8759-1
毎月第4日曜日11-17時(12月のみ第3日曜)オープン

instagram https://www.instagram.com/yuhzora

ブックトークカフェ(予約制)

FRUITS of LIFE vol.2内 5月11日 (日) 15:30-17:00
定員:10名 料金:500yen
<ご予約・お問合せ>
café fuchsia à côté de la mer(カフェ・フューシャ)
Instagram https://www.instagram.com/cafefuchsia

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