第74話|もう、浮気しないよ。
「この山のある方角って、どっちになりますか?」
「ええとねえ、ええと、これは・・・南・・・南西、ですかね」
そうか、南西が完全にふさがっているのか。まあこれだけ広ければ、冬でも日中はどこかが明るいだろうけれど。

どこへ行っても、自分の目で方位を確認する夫。 うーむ。確かに南西に山がある・・・
「広いねえ!ここならビニルハウスが次の日でも建てられるんじゃない?」
浮かない顔の夫を盛り立てるように声をかけると、その声にかぶさるようにダンプカーが下の道を通る音がブ〜ン。
「高台になってるから、けっこう静かに過ごせるんじゃないかしら?」・・・また、ブ〜〜〜〜ン。
都心にいれば全然気にならないのですが、緑深いところにいると車の音が耳障りに思えるから不思議。
あるいは、わたしたちが厳密になりすぎているのかもしれません。
アノ土地よりも魅力的か??遜色はないか??って。
社長さんのご期待に添うような反応ができなかったわたしたちの、恐縮してしぼんだ空気を察したTさんは、
「いやあ、おメガネにかなっていなくてすみません〜。これからも引き続き、他にも探してみますから」
と切り上げムードを作ってくれました。
車に戻りながら、夫がぼそっと「やっぱり便器工場が真下にあると、な・・・」とつぶやきました。
以前だったら、この土地でも手をうっていたかもしれません。ちょっとのことなら目をつぶって。
でももう、後戻りはできないんだ、ということに気が付きました。
三芳村のあの土地を、あの家を、あの風景を見てしまったら。
ひとことで言えば、土地の持つ魅力のスケールが違うのです。
個人的にはね、Tさんから土地を買ってあげたかったんです。骨惜しみなく付き合ってくださっているし。
でも、ごめん、やっぱり三芳村の土地でがんばることにします!・・・・これが、今回の結論。
これからもぶうぶう文句たれちゃうかもしれない、
あ〜めんどくさいと自棄おこしてふて寝する日もあるかもしれない、
それでもあの家にお布団を敷いて4人で寝る日を夢見てがんばろうと、わたしは心にかたく誓いました。
「おつかれさん」
「まあでも、見てよかったね」
そんな短い会話で、今日の総括は終わったのでした。
それにしてもわたしたちって、多分ハタから見ているとまどろっこしくてやってられないでしょうね。
いつまでもうじうじうじうじ・・・・「ええい、さっさと決めろ!」って思われてるだろうなあ。自覚してます。
でも、すぐに本登記できない「農地」があることで、どんな不利益が生じるかを考えつくして
先廻って手をうっておくというのは、何と思われようと必要不可欠なリスク管理ではあります。
最後の最後まで他の土地の可能性も検討するっていうのも、そのひとつ。だけどきっと世の中には
「よし決めた!買うぞ!どうにかなるさ♪」と即断即決して買っちゃうヒトだっているでしょう。
そしたらもう、今頃、あの家でコタツに入ってるのかもなあ・・・・
(実はわたしは非熟考タイプ。今まで暢気にそうやってきて、あんまり痛い目にあっていないから
反省もできてない。
でも今回、「億万長者でもない俺らの、なけなしの財産がかかってるんだぞ!!!」と夫に叱咤されて
ちゃんと反省して改心しました〜。だからリスク管理の実務もわたくしめが請け負ってるんです。
エラい?・・・あたりまえか。)

「この日の収穫。海に寄ったとき捕まえたカニ。 お味噌汁なんかにしないよ。飼うつもり。 (だったけど、1日で死んじゃった・・・)」
このブログについて平日は多忙なサラリーマン、だが休みとなると植物栽培マニアと化す夫。膨大な数の珍植物が自宅からあふれ置き場所に困り果てた挙げ句、夫婦の選ぶ道は「田舎で地主になる!」。植物と人間にとって理想の土地を探し求めることに決して妥協しない彼らの「とんでもない紆余曲折」を、赤裸々に綴ったブログ。
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著者紹介Miori
子供や夫や動物を育てるのが趣味。カフェの窓際でのんびり読書する時間と、家でのんびり造顔マッサージする時間が持てれば幸せ。と、ささやかに都心のインドア生活を楽しんできた主婦が、突如「田舎の土地をゲット」するために髪を振り乱して奔走しはじめる。結婚相手によって、人生が激変することを実感中・・・

