2007.7.24

第27話|・・・ありえなくもないかもしれない

Miori
 

まあ、気を取り直して、冷静になろうや。
どちらからともなくそうなったわたしたちは、とりあえず「条件を満たす物件が存在しない」ことに対してどう対処していこうかと、あらためて考えてみることにしました。


以前に、自分たちで書き出した「土地の条件」をもういちど見直し、その中で妥協できる部分があるかどうか、洗い出してみることに。
「日当たりとか、広さとかは、絶対条件だよな。」
「あと予算もね。財源は限られてるからね。」
「ケータイも通じないと困るしな。」
「道もついてなきゃ。水も出なきゃ。」
「遠くても通えない。」
「・・・いっこも妥協してないじゃん。」
「妥協ってなんだ?譲れないモノは譲れない。そうだろ?」
なーんて実りのない話をしながら、もう何百回もググッている「不動産 菜園 セカンドハウス」のワードでの検索画面を惰性で眺めていました。


「山梨とか、神奈川のもっと奥の方だったら、だいたい何時間くらいかかるかなあ。」
「道が空いてれば、山梨だって場所によれば2時間半くらいで行ける。でも、中央道が混むんだよな。連休のときとかだと平気で渋滞何十キロになって、そうすると4時間くらい平気でかかっちゃうと思うよ。」
山梨の方の物件を検索してみると、2時間圏内で行ける場所はやっぱりほとんどありません。また、価格帯で検索してみても、どんなに安くても坪単価10万円を切る物件は、皆無。


あーあ、と嫌気がさしていく中で、ふと、何となく見ていたgoogle検索画面の中の「房総」という文字が、目に入りました。房総は、まったく眼中になかった地域でした。今まで「第3京浜か東名高速でアクセスできる」、すなわち神奈川方面だけを考えていたのですから。

これだけ探してるんだから、どっかにあるはずだよ。 ・・・・ね?

「ねえ、房総ってのはどう?」
「前にちょっと見たら、けっこう物件数はあるんだよな。でもうちからだとムリだろ。」
「山梨とかよりは近いかもよ。ほら、トンネルできたじゃん。通ったことないけど。」
「アクアラインのこと?交通費がべらぼうで、死ぬよ。」


アクアライン。
通ったことのないわたしでも「通るだけで身も心も細りそうなほどお金のかかる高速道路」くらいのイメージはありました。でもちなみにいくらだっけ?と調べると、片道で、3000円。ひえ〜。たかっ。海の下に長大なトンネルを掘るのは確かにご苦労さんだったと思うけど、一般市民が気軽に使う気になれない価格設定だと、思いませんか?


こんなちょびっとの距離を走るので往復6000円でしょ、それだけ出せばディズニーランドで遊んで帰れるじゃん!と、なんか軽く腹もたってきます。(そうとう時代遅れな問題認識でしょうが。わたしとしては、アクアラインの料金設定について親身になって考えたことがなかったので、新鮮な憤りでした。)


・・・まあそれはさておき、ところで千葉にどんな物件があるかいなと調べてみることにしました。たしかに、あるわ、あるわ。田舎暮らし、菜園向き、そんなキーワードでひっかかってくるサイトがざくざく出てきました。


その中から適当なサイトを選び、「500坪以上 3000万以下」などとして検索してみると、今まで目にしたことのないような豊富な物件数にびっくり!該当物件が2ページにもわたって掲載されているという、信じられない光景を目にしたのです。


しかも、相場感が全然違うのです。驚きの低価格!(じゃぱねっとたかだじゃないけど。)
「すごいな。あらためて見ると、千葉県はエライ。いろいろあるぞ。」
「ね、この物件なんて600坪で1800万円だよ。坪単価、さ、さ、さん万円!」
興奮しながら手を取り合って、次々に物件の詳細を見始めたわたしたち。希望の光が、遠くにぽっつり見えてきたような、迷走のトンネルを抜けられそうな予感。(とどのつまり、安くて広い物件の数に感激しただけですが。)


「でもさあ、息するだけでお金がかかるアクアラインを利用しなけりゃならないのが、ネックだよね。東京湾をぐるっとまわって行っても時間もかかるし、結局高速代だってかかる。」
「いや、これだけコストが違うと、あれだな、アクアラインを使った場合でも、神奈川の土地を買うよりオトクかもしれない。」


いそいそと、夫が紙とえんぴつを取り出しました。


試算:
アクアラインの往復は3000×2=6000円
毎週末房総に通うとしたら、年間で、 365÷7=約52回
つまり、年間で 6000×52=31.2万円 かかるってわけ。
で、神奈川で坪単価10万円の土地を500坪買うとします。つまり、5000万円。
一方で、千葉に坪単価5万円の土地を500坪買うとします。こちらは、2500万円。
差額が2500万円。
この差額で何年分アクアラインが使えるかというと、 2500万÷31.2万=約80年


自分たちの寿命が90だとしても、あと50年やそこらだから、
房総に土地を買えば、一生、毎週末アクアラインを使ってアクセスしてもお釣りがくる。
・・・よって、房総に土地を買うことは、現実的である。以上。


「な。房総は、イケルんだよ。」
勝ち誇ったように、彼は何度もうなずきました。
「しかもどうだ。車にETCを搭載すれば、片道2320円まで割り引かれるらしいぞ。」
にわかに希望を見いだしたわたしたちは、まずは地味に「ETCの取り付け」から調べ始めたのでした。


「房総はオトク」であるということが、数字で裏打ちされたときの、この嬉しさよ。ぐちゃぐちゃ計算した紙を見ながら悦に入って、物件探しに新たな活路を見いだしたのです。アホだとは思いますが、わたしたちにとって、このプロセスはとっても重要だったと思います。思いっきり方向転換して新天地に切り込んでいくためには、愚かな手計算の紙でもなんでも「根拠」が必要だったのです。


房総には、未知の可能性があるかもしれない。「500坪の平坦地 風光明媚で静かな高台 坪3万円」が、あるかもしれない。こんな期待を胸に、ぜんぜん馴染みのない「房総エリア」に乗り込もう!と決意し、本腰を入れて物件探しの再スタートを切ったのでした。

このブログについて
 

平日は多忙なサラリーマン、だが休みとなると植物栽培マニアと化す夫。膨大な数の珍植物が自宅からあふれ置き場所に困り果てた挙げ句、夫婦の選ぶ道は「田舎で地主になる!」。植物と人間にとって理想の土地を探し求めることに決して妥協しない彼らの「とんでもない紆余曲折」を、赤裸々に綴ったブログ。
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著者紹介
 

Miori
子供や夫や動物を育てるのが趣味。カフェの窓際でのんびり読書する時間と、家でのんびり造顔マッサージする時間が持てれば幸せ。と、ささやかに都心のインドア生活を楽しんできた主婦が、突如「田舎の土地をゲット」するために髪を振り乱して奔走しはじめる。結婚相手によって、人生が激変することを実感中・・・

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