第26話|ドツボにはまってさあタイヘン
さて。こまったぞ。
契約目前に秦野の土地を目の前でかっさらわれたわたしたち。結婚前提にあなたひとすじだったわたし、まさか35歳までひっぱられて振られるなんて・・・!!くらいの落ち込みで、土地探しに復帰する気力はゼロ以下に。茫然自失とあいなりました。
「やっぱり、あの土地ほしかったよねー」なんて寝ぼけたことをもごもごと口走るだけで埒があきません。失意とため息の中、むっつり暗い寝酒を飲んで、深夜番組をちょっと見て寝る、という現実逃避の日々が続きました。それでも、センチメンタルジャーニーに出かけてリセットしよう、ってほど悠長でいられないのが辛いところ。
なぜなら、わたしたちは、死と直面する植物を何百もかかえていたからです。
温室内に越冬する場所をつくってもらえなかった植物達は、その頃、やむなく家の中にとりこまれていました。窓際を陣取れなかったメンツは、日かげー。確実に日照不足となり、日に日に色が悪くなり、瀕死の鉢植えも続出。温室内も超満員で、あろうことか植物を置く台を2段、3段と積み増していたため下の段はもちろん、日かげー。葉っぱは萎えー。時には枯れー。
「もうすぐ、広くて明るい場所に出してあげるからね。辛抱してね。」と声なき弱者達を励ましてきたのに彼らを救うための目処が全くたたなくなってしまったのですから、責任重大です。
「・・・神奈川で、他に可能性があるのはどのあたりだろう。」
「大雄山線のほうは?御殿場とか。」
「バカおまえ、車で軽く2、3時間はかかるぞ。渋滞にひっかかったら4時間コース。むりだろー!」
「でもさ、代替案ないじゃん!じゃああなたどこに土地があるっていうのよ!!あるなら出してよ!!」
ほとんどケンカ腰の話し合いが繰り返されるようになり、検索環境も劣悪化してきました。週末に通える範囲の場所はすべて、坪単価10万円を下らず、かといって格安物件の詳細を見ると「平坦地なし」「全北斜面」あるいは「電気なし、水道なし、ガスなし、道なし、現況山林、周囲も高い木がもくもく生えている圧倒的日影地」
という、過酷な状況の土地ばかり。
こりゃ不動産屋さんのコネで何とか出物を見つけるしかないな、ということで数件電話をしてみて、また希望を持って物件廻りをしてみたのですが・・・・ここでお伝えする気力もないほど、トホホな土地ばかりでありました。
「ペンションのオーナーがね、思い切って土地付きで売りたいっていうのがあって。」というので行ってみると建て売り住宅のようなペンション群の中の1棟がそれで、前庭が30坪くらいちょろんとついているだけ。とか、「ここは安いですよ。」と紹介された土地は、100坪足らずで全日影で南直近に山がそびえていたり。
どうして、わざわざ足を運んだのに、ひとっつも希望に近いものを見せてもらえないのか、本当に不思議でした。もう、何もかもちぐはぐで、あの秦野の土地が如何に奇跡的に素晴らしかったかということを知らしめられるだけ。
「セカンドハウスなんてナマイキでイケ好かないぜって思われて、因業なことされてるのかなあ。」
「条件提示のメールの内容が、何かの手違いでハングル文字とかに変換されていて読めないのかなあ。」
これほどまでこちらの提示する条件が伝わらないなんて、なにかあるんじゃないかと思いたくもなりました。
・・・いや、本当はね、そんな特別なコトじゃないって、わかっていましたよ、もちろん。結局、わたしたちがあっさり提示していた条件が、かなり現実離れしていたんだって。
要するに、安くて広くて明るくて静かで平らな土地なんて、神奈川方面にはそうそうない。よっぽど希有な出会いがあれば(前回のように)別だけれども、数打ちゃ当たる、という期待はできない。
ないものは、ない。まあ、そういうことです。
いいモノを見ちゃった後の再出発は、きついんです。今思えば、このへんの時期が、どん底だったかな。あはは。ま、今笑って語れるようになっているんだから、どん底からだってはい上がれるってことでしょう。あきらめない限り、チャンスは巡ってきます。
なーんて大層にいうほどじゃないのですが、わたしたちに転機があったとすれば苦し紛れに「ありえなーい」と思っていた地域に手を出したことがきっかけです。

「コケそうでもコケるな」・・・これぞ、我が家の家訓。 ぽちんだって実践してるんだから。
このブログについて平日は多忙なサラリーマン、だが休みとなると植物栽培マニアと化す夫。膨大な数の珍植物が自宅からあふれ置き場所に困り果てた挙げ句、夫婦の選ぶ道は「田舎で地主になる!」。植物と人間にとって理想の土地を探し求めることに決して妥協しない彼らの「とんでもない紆余曲折」を、赤裸々に綴ったブログ。
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著者紹介Miori
子供や夫や動物を育てるのが趣味。カフェの窓際でのんびり読書する時間と、家でのんびり造顔マッサージする時間が持てれば幸せ。と、ささやかに都心のインドア生活を楽しんできた主婦が、突如「田舎の土地をゲット」するために髪を振り乱して奔走しはじめる。結婚相手によって、人生が激変することを実感中・・・

