第72話|恋愛と結婚は別?
付き合っている人がいるのにお見合いをするって、こういう気分なのかなあと思います。
彼氏には黙っておいて、実は「条件も人柄もよかったら、結婚はこっちと決めよっかな」
みたいな腹黒さで、それなりにウキウキしながら現場に向かうかんじ。
ついこの間まで「これが最後の恋!」みたいに一途だったくせに、その舌の根も乾かぬうちに
「恋愛と結婚は別」とも言えてしまう自分の恐ろしさよ・・・
三芳村の土地に疲弊していたわたしたちは、できれば今日出会う物件が衝撃的に素晴らしくあれと
心の中で祈りながら、早起きしてTさんに指定された場所に向かいました。
今回見せてもらうのは、どちらも君津市のもの。三芳村よりは随分と家から近いんです。
「やっぱり三芳村は遠すぎるかね。君津くらいだったら、正味1時間ちょっとで着くんだよね」
「そうそう。毎週末のことになるから、それってすごく楽なことだよね」
ドライブ中の会話も、なんとな〜く新しい物件に寄り添ったものになりがち。
「Tさんにはいろいろお世話になったから、ひょっとしたらここで恩返しってことになるかな」
「でもさあ、意外な落とし穴に注意だぞ。前見た、恐ろしいおばあさんが登場した物件も、条件はよかったよ。
ははははは!あれは忘れられないなあ!」
「ホントだね、あのおばあさんは強烈だったね、あはははは!」
もうすぐ運命の扉が開かれるかもしれないという期待からか、夫もわたしもやたらと明るいのでした。
