第49話|難儀な道の向こうに
それにしても難儀な道中です。獣道の両端の下草は、わたしの背より高くて見通しゼロ。
歩きにくいことこの上ないのですが、くわえタバコのEさんは
「はい、ボク、足下気を付けてね。男の子は元気でいいねー」と、最後尾のにいにのことを気遣いながら
ニコニコザクザクのぼっていきます。
「えー、と、これは、どこに、平坦地が、あるんですか、ねえ〜」
ぽちんを抱っこして道ならぬ道を歩く夫が、ハアハアしながらたずねました。
「それがねえ、この土地は面白くて、ぐるっと回るこの道沿いに100坪単位で平坦地が連なって
いるんですよ。もっと行くと、まとまった土地もでてきますよ。」
地図と現在地を照合しながら、平坦地らしき場所を指し示してくれるEさん。
「ほらここも、左手は平らでしょう。あっちにもあるはずだ。」
夫はぽちんを左手に方位磁石を右手に持ち、ええと南はこっちだよなあー、と奮闘しています。
こりゃ物件見学というよりも、オリエンテーリングだわ・・・。
後ろを歩くにいにを振り返り、「遅れると迷うぞ。がんばれ!」と八甲田山死の彷徨よろしく檄を飛ばし、
なるべくにいにが通りやすいように左右の下草をなぎ倒しながら進んでいきます。
えらいこっちゃと汗を拭って息をきらしていると、前の方でEさんが、
「この道をまっすぐ突き抜けると、海に出ますよ。」と言っているのが聞こえます。
「今、海って言った!?」
聞きつけたにいには突然ダッシュをかけてわたしを追い越し、
夫やEさんのいる前方へバタバタ走っていきました。
