第44話|バンバンバン、ドンドンドン!

まあ・・・もっと大きい問題がありそうなのですが。
「な、なに?今声がしませんでした?」
びくっとしたわたしは、思わずぽちんのことをはっしと抱きかかえて言いました。
「あー、やっぱり、来ちゃいましたね。」
Tさんは慌てた風でもなく、勇敢にもずんずんと声のした方に歩いていきます。するとまた、
「来るなー!!来るなー!!」
こんどはハッキリと聞こえます。敵意に満ちた、女のヒトの怒声が。
誰に向かって言っているのだろう。わたしたちに言っているなんてこと、あるのだろうか。
続いて、金物を叩くような音が聞こえました。バンバンバン、ドンドンドンドン!
わたしたちはすっかり面食らって、ともかく必死にTさんにくっついてのぼっていきました。
するとそこには、すごい面相でこちらを見ているおばあさんが立っていたのです。
でもわたしたちの姿を見るや否や、ぱっとどこかへ消えてしまいました。
Tさんは「あのー、すみません、ちょっと・・・」と言いながらおばあさんを追いかけ走っていきます。
「ね、今わたしたちが、来るなって言われたんだよね。」
「うん、おばあさん、怒ってたぞ。」
その場に呆然と立ちすくみつつ、耳をそばだてていると、まだときどきドンドン!ガンガン!とむこうから音がします。
こどもたちも、異様な雰囲気を察してすごく静かにしています。
しばらくすると、Tさんがますます困ったような顔をして戻ってきました。
「すみません。びっくりなさったでしょう。」
「ええ・・・・かなり。あの方は?ひょっとして地主さん?」
「いえいえ、違うんです。この土地の隣りにすんでいらっしゃる方で、この土地を見学しに来る人を察知すると
ああやって怒鳴ったりさわいだりするんです。
この土地に誰かが居を構えることを、絶対に認めないというかんじで。
僕たちも、ずっと困っているんです。土地はいいからご紹介したいし、地主さんは売りたいし。
もうそういうことはしないでくださいと先日お話をしに行ったんですけどね。また来ちゃいましたね。
洗濯物もどかしてなかったし。」
やっぱり、あれはそうだったのか。
「でも、法律的には認められないですよねもちろん。何か手だてはあるんじゃないですか?」
「いやおっしゃるとおりなんですが・・・それが、なかなか。」
うーん。
わたしたちは、無言でうなるしかありませんでした。
