第38話|ベリーワイルドな土地
「次はですね、谷に向かってひらけている土地です。ここからすぐですね。」
さらりと言うTさんの言葉に、ビビットなものを感じたのはわたしだけでしょうか??
・・・谷に向かってひらけるとは、見晴らしがいいのか?悪いのか?
ひたすら想像力をかきたてられつつ、さらなる目的地へむけて発車しました。
雲行きの怪しくなってきた空を見上げて「降らないといいねー」なんていいながら走っていくと
ほどなく目的地付近に到着。
左手に川らしきものが見えてきたあたりで車道からそれて、ぐっと坂道になり下る斜面で車を停めました。
言ってみれば、河川敷のような風情の広漠とした場所にたどりついたわけですが
見渡しても、どこが該当の土地なのかよくわかりません。
川らしきものはまったく見えず。
すたすた前を歩くTさんについていきながら「その物件はここから遠いのですか?」と聞くと、
「いえ、いえ。ここです。ここが、その土地です。」
Tさんはまたラクダさんのような邪気のない顔で微笑んで言いました。
・・・ほえ〜。ここですか!
たしかに案内図どおりの場所で、広さも形もそのとおりではあります。
そして、まさに谷底に向かってひらけている土地なんです。
道路から一段下がっていたところに広がっていていて、さらに奥は奈落の底のような崖。
おそらく、その下は川でしょう。とってもワイルドな風景で、ある意味新鮮です。
でもなぜ、自分のいるところが、物件に該当する土地に見えなかったって?
口ではうまく説明できませんが、この場所には「個人が所有するべきところではない」オーラで満ちていたのです。
なんといいましょうかね、多摩川の河川敷がいくら広いからって、「ここ、売り地。」ってならないでしょ。
そういう感じ。
どんよりしてきた空の具合とも相まって、かなり荒涼とした雰囲気が漂っていたんです。
(もちろん、法律的に問題がある土地ってわけではなくてね、あくまで雰囲気がね。)
アメリカの砂漠にこういうところがあったよなあなんて思いながら、しみじみその土地をふみしめました。
(お忘れかもしれませんが、我が家の家族旅行は砂漠への植物探訪がメインですから。はい。)
