第19話|で、どんな土地かっていうと
結構複雑なこの土地の概要を、説明しておきます。この土地は、Kさんが言うように、真ん中に挿入された道を挟んで二人の持ち主がいました。
ひとりは、そこを資材置き場に使っていて(だから現場小屋があったのです)、もうひとりは、老後に永住するための土地として購入したそうです(ゆずの木のあるほう)。資材置き場に使っていたほうのヒトがそもそもひとまとめに持っていて、そのヒトがいわゆるその立派な石垣をぐるりとつくったわけでありますが(便宜上、石垣さんとお呼びします)、何らかの理由で土地の半分を、ゆずの木のヒト(こちらは、ゆずさんとしておきます)に分譲したわけです。

で、石垣さんの持っている土地には「宅地=家の建てられる土地」はついておらず、ゆずさんのほうの土地には「既存宅地」といって「調整区域ではありながら昔から宅地となっていた土地なため今でも宅地扱いとなっている土地」が130坪ほどくっついていました。(そもそもここは調整区域なため、本来家は建てられないのですが、そういうわけで家が建つ。)
これがふたつ併せて、ほぼ500坪。その、持ち主さんおふたりが、時を同じくしてその土地を売り出しているんだから本当に類い希なチャンスだったんです。
まあ、ひとつの土地の持ち主がふたり、というのは、そうとう面倒でもあるのですが。
不動産屋さんは、この土地にからんで2業者入っていました。ひとつは、わたしたちにこの土地を紹介した仲介業者がKさん。また、石垣さんとゆずさんはこの土地の売買についてSさんという業者さんを専任としていたので売り主と買い主の間には、Kさんと、Sさんという、ふたつの仲介業者が入っていたというわけです。
見学後に、わたしたちとKさんは、この土地の専任をもっているSさんの営業所に一緒に行って土地の価格や売り主の情報についていろいろと聞いてきました。それによると、間違いなく、石垣さんもゆずさんもこの土地を売りに出していて、まだ誰とも契約が決まっていないとのこと。つまり、名乗りをあげればすぐに買付証明の出せる状態だったんです。
また、素性の悪い土地でもなさそうで(過去に自殺者が出ているとか、抵当に入っているとか)、既存宅地という何だか怪しげな宅地も、一応すでにそこで確認申請までとおったことがあってちゃんと家が建てられる保証もあるということが分かりました。(ゆずさんは、確認申請まで出した時点で奥さんが体調を崩され、泣く泣く売りに出したとのことです。
やっぱり、ある種の温かさを感じたのは、本当に夢ののっかった土地だったからなのです)この土地に関する資料をいくつかいただいて、その日は解散となりました。
