第18話|好物件を目の前に、わくのは猜疑心
下から、夫にいろいろと説明しているKさんの声が聞こえてきました。
「わたしもね、長いこと不動産屋をこの土地でやってますけど、ここはいいです。なかなか出ないですよ。ちょっと、詳しいことはこの土地の専任の業者さんと話してみないとあれですけど、いやね、うまいこというじゃないですけど、この日当たりでこの広さだと、すぐ売れちゃうんじゃないかなあ。」
・・・実はわたしね、ちょっとだけ恨んでるんです、この口癖。やっぱりあまりにいかがわしいと思います。結論から言えば、彼は本当は素朴で善良な地元の不動産屋さんだったんです。(逆に本当にやり手のヒトだったら、こんなベタな言い回ししないはず。損ですから。)
でもなんかこういうセールストークって、疑い始めると果てしなく疑いたくなるようなニュアンスがあって、夫もわたしもフィーリングでは「かなり最高!」と思っていたこの土地も、彼の話を聞いているうちに「ほんとにさあ、うまいこといってぼったくろうとしてるんじゃないの。」と、どろどろと猜疑心が湧き出てきて、そっちがそうならこっちだって武装してとりかかってやる、ちょっとでも不利な条件はのまないぞ、みたいな構えになっちゃったんですよね。途中から。あ、別にKさんだけが悪いんじゃないです。言ってみれば、これは逆恨みっていうか、軽い八つ当たりみたいなやつです。
そんな愚痴もいいたくなるんですよ、夢が叶わなかったりするとさ。

裏山に入ると、しいたけ栽培の榾木(ほだぎ)が。
