第15話|問題発覚
「問題はですねえ、あるとすればですねえ、道です、道。」
え?道がどうしたって?
「この土地、実は接道していないんです。土地ってね、2m以上接道していないと、家が建てられないんですよ。ほら、ぶつっと切れていた前の舗装道路の幅、2mないでしょ。だから、接道してないことになる。」
「じゃあ、ええと、ここに家を建てようと思ったら、どうすればいいんですかね。」
「前の土地の持ち主さんと交渉して、道の分の土地をわけてもらわなければならなくて。その手続きが、若干やっかいではありますけどね。まあ、何とか頑張ってみますが、相手さんのあることだから、今の時点でお約束はできないんですよ。」
ほえー。隣から地上げするってこと?こりゃまたやっかいだ、本当に。そんな悪条件、前もって来る前に教えておいてくれなきゃ困るよ。
「やってみて、一か八か。っていうのはありますけどね。」
Kさんの、ぜんぜん結構申し訳なさそうじゃない口振りに、むらむらと腹が立ってきました。

ずーっとガマンして物件巡りにつきあってくれているこどもたちへのごほうびです。
っていうかさあ、そもそもさあ、道も通ってない土地を紹介するなよ?!地上げしてから売れよ?!でも一方で、やっぱり、安いには安いワケがあるんだな・・・なんて、変に納得。そうそう、うまい話なんてころがってるもんじゃあない。そうでしょう、よく考えれば。
で、わたしたちは、苦労してでもこの土地にしがみつく価値はあるだろうか。と考える間もなく、夫が言いました。
「なるほどな。けっこう難しい土地なんですね。わかりました」
ここはナシでしょうねというニュアンスを含んだ言い方に、まあそうだな、せっかく見つけた土地だけど、わたしたちには地上げ交渉をする時間的なゆとりもないし。ハイ消えた。と思いました。
「で、ですね。実はつい昨日、まだ表に出てない情報なんだけど、ひとつ面白い土地がありそうだって聞きつけたんですよ。すぐ近くだから、行ってみます?」
わたしたちのドン引きムードを覆すように、Kさんは明るい声でこんな提案をしてきました。
「どこです?」
「いや、ここからなら車ですぐですから。よければぜひ。わたしもね、まだ見てないんですけど、けっこうイイらしいんですよ。うまくやれば、まとまった土地が手に入るかもしれないっていう・・・うまいこと言うじゃないですけど。」
もちろん、わたしたちはそこに移動することにしました。
道のない土地に、たいした未練はありません。
雰囲気は明るくてのどかでいいところだったので、今後、さんざん他の物件を探してもなーんにもなかったらひょっとしたら妥協して再考するかもしれないな。とは思いましたが、
その確率も晴れた日の降水確率くらいでしょう。
「ママおしっこー。」
息子のにいにが去り際に、土地のすみっこでおしっこをいたし、
「ばいばーい」と1つ目の土地をあとにしました。
