第14話|一見グー!な土地のようでも
「おお、ここか?!」

雑草の絨毯が光をうけて青々しくたなびいていました。
そう、ホントにわりと素敵な土地なんです。
手入れされていないため草ぼうぼうではありましたが、確かに広そうな平坦地で、見晴らしのいい高台です。高台だという他に特徴はあまりないのですが、欠点という欠点も見あたらず。わたしの、この土地の第一印象は、へえー、まあまあいいじゃない?というかんじ。明るくてひらけているし、静かなところだし。もっというと、ここでもいいかも!くらいは思いました。
でもこの時点ではまだ、土地を見る目が養われていなかったので正直言って、良いのか悪いのか、よく分かりませんでした。
それよりも、
「何しろ、あんなに検索しても出てこなかったんだから、この土地は希有な存在だわ・・・ここにすぐ決まったら、もう土地のことで悩まなくて済んで、楽だし・・・悪くないじゃん、いいよここで。決めちゃえ決めちゃえ」なんて邪念が横切っていた、というのが正しいです。(わたしの描く夢の底の浅さと、執着の乏しさが、もろわかっちゃうのはこういうときです。)
夫は、なるほど、とか言いながら草をかき分けて土地の様子を観察し、写真をぱちぱち。
「うまいこと言うじゃないですけどね。日当たりは抜群ですよ。東向きだから朝日からばっちり当たるし。ほとんど造成しないでいいくらい平らですしね。」
Kさんのセールストークがはじまりました。
なるほど。朝日が当たる家って気持ちよさそうだな。平らだから温室すぐ建てられるし。
「この坪数の物件って、ご存知と思いますけど、そんなには出ないんですよ。うまいこと言うじゃないですけどね、これだけの広さでこの値段は、わたしも不動産屋の端くれですがあんまり見たことないです、ええ。うまいこと言うじゃないですけど、ほんと。」
アッという間にKさんの口車に乗せられ、ほいほい契約してしまいそうな安直なわたし。前夜の作戦会議のことなどすっかり忘れて本当にきもちいい土地ですねー、いいなーほしいなあーなんて口走ったり、ぷわーっとよいイメージがふくらんで、ますますここで決まりかな!なんて本気で思ったりして。
対して、夫は淡々と条件を詰めていました。
「水はどうですかね。」
「給排水は、工事する必要があります。井戸が掘れるんじゃなかったかな。」
うわあ井戸か。どれくらい掘るんだろう。
「電気は、ひけるんですか?」
「電気はですねえ、そこの前の家まで来ているので、問題ないでしょう、が。」
「東向きっていうのはいいんですけどね。どれくらい日照時間があるのかな。あと、東に異様に細長い土地だから、温室たてるのに南北軸に長くなっちゃうのが気になります」
夫のコトバに、ああそうだ西がふさがっているから、昼過ぎから急に暗くなるのかな、あと、ここはがけ崩れは大丈夫なのかしら、結構急な法面があるけれど・・・・などとにわかにいろいろ気になりはじめました。ちゃんと、わたしたちの条件に合うかを、冷静にチェックしないといけなかった。
「あと、お墓が見えるのも、ちょっと気になるなあ。」なるほど確かに、土地の縁に立って下を見ると、さっき通り過ぎたお墓が眼下にどーんと広がっていました。いやいや、いろいろ問題はあるな、よさそうに見えたんだけど。とそこでわたしが先々への不安を募らせるよりも前に、もっと決定的な「問題」をKさんが口にしたんです。
