一宮テラスレポート vol.4
段々と一宮テラスの全景が見えてきた。
text / photo = 大我さやか(Open A)

全景が見えてきた一宮テラス。もう竣工して引き渡した家もでてきた。

夏が近づいて来た。
あのBBQ付き分譲会からもうすぐ1年。あの日この土地に出会った人々の家がもうじき完成する。
今工事が進んでいるのが5棟、2棟はつい先日竣工して、もう人が住み始めている。他の3棟も8月には完成しているだろう。
段々と一宮テラスの全景がみえてきた。

それぞれプランも大きさも異なる家々。定住する人もいれば、週末住宅として使う人もいる。
これだけバックグラウンドが異なるのに、なぜか一宮テラス全体を見渡すと、うっすら統一感がみえる。

大きな窓、家の中を貫通したデッキ、吹き抜け、庭。風や光、全ての家で自然とのうまい付き合い方をいろいろ実験している。

「外部に開く」というのは響きはいいのだが、特に大きく割られた土地ではないこの場所でそれを考えるとちょっとしんどそうだ。
一宮テラスの家々はそれとはちょっと違う。外に開いているのだが、お互いをうまく避けたり離したりして、そこに視界の抜けや風の通り道をつくっている。





設計の現場は、常に街並みや隣の建物など周辺環境を手がかりに形やディテールを決めていく。それを制約というなら、一宮テラスはその制約が全くない。あるのは松と土地の緩やかな起伏だけ。

分譲会の時、ケーススタディでそれぞれの土地のプランをスタッフ全員で試行錯誤した。
最初はなんの制約もないこの土地で、思いっきり実験的な面白いプランを描こうと考えていたが考え始めると、逆になんの手がかりもないことに途方にくれてしまった。

それが、実際に設計が進んでいくと珍しい現象がみられるようになった。
お互いの設計を覗きつつ、隣がこうなっているからうちはこうしようという会話が聞かれるようになったのだ。それは協調でもあり差別化でもあり、互いを意識した設計になっていった。お互いがお互いの家を手がかりにして、自分の家を形作っていく。

考えてみれば不思議なことだ。そんなことが通常の設計の現場で起こるだろうか。隣がRCだからって、自分の家もそうしようとはなかなか思わないだろう。
しかし、この一宮テラスの現場ではそれが自然に起こっている。

それが一番表れているのが外壁だ。種類は違えどほとんどの家で木が使われ、張り方や色味などを決めるときに、スタッフだけでなく施主も全体の見え方を意識していた。

そして、ちょっとずつ方向性の違う施主やスタッフの希望が、緩やかに織り上がって全体をつくる。1棟建てる現場とは全く違うプロセスに、自分たちが立っていることに気がついた。


2軒とも施主も設計者も違うのに、調和した雰囲気を作り出している。

おおよそこの土地に住む人々は、もう互いの顔も名前も知っているし、家ができる前からご近所付き合いが始まっている。隣に家を建てている人という認識以上に、これから構築されていくだろう一宮テラスのコミュニティの中で、自分たちがどう付き合い、暮らしていくかをちょっとずつ意識し始めている。そういう緩やかなつながりが、全体としての調和をもたらしているのかもしれない。
それは、昔からあるお隣付き合いほど重くなく、都心の希薄さでもない、適度な距離感。この土地は、作られた家以上に、作られていくストーリーの方が実はずっと面白そうだ。

コミュニティとコントロールされない全体の協調、この2つのファクターが相互に影響し合って一宮テラスが出来上がっていく。
今度は家ができるまででなく、ここから生まれていくストーリーを観察したい。

目次
(1)一宮テラス、分譲が始まる。7月11日(土)に敷地と一緒に、周辺エリアを案内。
(2)7月11日、敷地と周辺案内会が開催されました。
(3)一宮テラスには、一見バラバラだけど、適当に調和がとれそうな家々が建ちそうだ。
→(4)段々と一宮テラスの全景が見えてきた。
(5)住み始められた一宮テラス。