Brown's Field

text / photo = 大我さやか(Open A)

ライステラスとブラウンズフィールドを運営するシネマさん夫婦

穏やかな時間の流れと地元野菜たっぷりの自然食を提供

ブラウンズフィールドは、中島デコさんとエバレット・ブラウンさんの夫婦二人で農的循環生活を目標にしたのがはじまり。それから時は経ち、敷地にはカフェやゲストハウスが建った。つい一年前に長女・子嶺麻(シネマ)さん夫婦に世代交代し、数名のスタッフと日々忙しいくも楽しい毎日を送っている。

はじまりは11年前、東京の世田谷という都会の真ん中からいきなり千葉の外灯もない田舎に引っ越してきた。当時、この土地は鬱蒼とした竹林だった。古い民家が一軒と篠竹が乱立していて、ここから現在に至るまで長い時間をかけて住み心地の良い場所に変えていった。

娘の子嶺麻さんはそんな不便な暮らしに耐えかねてか、中学を卒業するとすぐ都心に戻ってしまう。数年前まで東京でマクロビオティックのスクールでアシスタントとして働いていたが、マクロビオティックを知れば知るほど、都会で生活することに違和感を感じていったという。3年前に東京での仕事を辞め、デコさんに勧められて小笠原でウーフを体験。ここでドルフィンスイミングのインストラクターをしていた旦那さんと出会い、去年結婚し、今は二人が中心となってこのブラウンズフィールドを運営している。

田んぼでは合鴨農法で米を育て、広場にはヤギもいる。野菜は無農薬栽培し、自給率のアップを目指している。研修生を受け入れていて、住み込みで働きながら農のある生活を身体で学んでいく。4年前にカフェを、去年は蔵を改修したゲストハウスやツリーハウスの宿泊をはじめた。全てが手作りで、土壁やタイルでアーティスティックに飾られた模様が独自の空間を作り出していて、なんとも居心地がいい。丸太が荒々しく組まれたツリーハウスにも窓にステンドガラスか使われていたり、遊び心満載だ。大工志望の若者が建ててくれたそうだ。

ブラウンズフィールドに点在するこういったものたちは、エバレットさんの思いつきだったり、ここを訪れた人たちがインスピレーションを受けて「ここにこんなのあったらいいじゃん」という感じに作られていった。ここに集まっている人たちのアイデアや協力によって、持続的に循環してきた場所。一見アナクロな手法にみえるが、スローに循環するディべロップメントの方法論というのは実に先進的だ。ただ作って終わりでは、そこに生成されるコミュニティも時間とともに劣化する。小さな例ではあるかもしれないが、ここに持続可能な都市開発のヒントがあるような気がする。

今、子嶺麻さんのお腹には小さな命が宿っている。自分は違ったが、この子は生まれた瞬間からこの環境で育つ、と嬉しそうに話した。数年後にはブラウンズフィールドの芝生を駆け回る子どもの声がこだましているだろう。ここは子どもにとっても最高の楽園に違いない。


一面に芝生が広がるブラウンズフィールド

昨年できたばかりのツリーハウス

広場では数頭のやぎを放牧している

ハンドメイド感溢れるライステラスのインテリア