房総で妄想

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設計の仕事は、ほぼ妄想に始まり、
少しずつ小さくなって現実に落ち着く。
その妄想を走らせている時間が一番楽しかったりする。
もちろん、ディテールに細かな工夫をしながら仕上げてゆく作業も楽しいのだが、
僕の場合、この「妄想期間」をもっとも楽しみにしている。
房総の馬場家の場合も、まずはそこから始まった。
しかも自分んち、どうにでも実験ができる。
どうせなら普通のお施主さんには言いにくいようなこともやってみたい。
馬場家は実験台だ。
(と、こんなことを書くと、また嫁に出て行かれそうだが・・・)

031_01.jpg

一番左側の家が、房総の馬場家。
向きが変わったり、面積がかなり小さくなってしまってるけど、
だいたい最初のイメージに近い設計になっている。
隣の三棟はまさに妄想の家だ。
こんな感じで、のんきな平面の家が並ぶといいなあと思っていた。
この仕事を担当しているOpen A の担当、梶ヶ谷(女性・たぶん彼氏募集中)も、いい感じでテキトーな性格で、こういった妄想作業には比較的よく付き合ってくれる。ノリノリで房総の妄想ハウスを連ねていった。
ちなみに、誰からも頼まれていないのに、模型さえつくってしまった。こんな感じ・・・。

031_02.jpg

なんだか、楽しそうなビレッジになっている。
こういう無駄な作業ばかりをしているからOpen A は恒常的な貧乏事務所なんだと思うが、
わかってはいるのだけれど、妄想は止まらない。まあ、プロジェクト初期の幸せな時間だ。

僕はこの模型や敷地の写真、近くのビーチの写真を、事務所に仕事や取材で来る人にことごとく、見せびらかしていた。
迷惑に感じた人もいたかもしれない。
そんなことを繰り返していたある日。いつものようにミーティングが終わった後に、まったく違うプロジェクトを一緒にやっていた仕事仲間に対し、
「ちょっと、見ていって下さいよ。今、Open Aは 房総ブームなんですよ・・・」
とか言いながらこの模型を見せていたらその人の目が異様な輝きを放った。

「え、まじ、この考え方いいね。
オレ、ちょうど最近サーフィン始めたんだよ。
こんな土地、1000万ちょっととかで買えるの。
え、東京駅から1時間。すぐじゃん。
オレも買っちゃおうかな」

最初は冗談か社交辞令だと思った。
しかし数日後、
「やっぱいいよね、あのプロジェクト。オレも買っちゃうよ」という電話が・・・。
勢いというのは恐ろしいものだ。ものすごい軽いノリで(最近、これを「房総ノリ」と呼んで片付けている)土地の売買が進んでいく。
物事が進むときは、だいたいこんなものかもしれない。

この後、頻繁に登場する、このYさんの出現により、房総プロジェクトは急展開を迎えることになる。
このときはまだ、それを知るよしもない。
「房総ノリ」の連鎖によって僕の隣の土地は次々に埋まっていくのだ。
妄想でつくった模型のビレッジは、にわかに現実味を帯び始める。

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このブログについて

東京R不動産のディレクターでもある馬場正尊が、ふとしたきっかけから房総に土地を買い、家を建て、生活を始めるまでのストーリー。資金調達から家の設計、周辺の環境や人々との交流、サーフィンの上達? まで。彼の人生は些細な気づきから、大きくそれていくことになる。馬場家の東京都心と房総海辺の二拠点生活はこうして始まった。

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著者紹介

馬場正尊