フラット35のなぞ

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「フラット35」を知っているだろうか?
住宅ローンについて調べてみたことのある方は、まず最初に当たる。

35年間、金利が変わらないもっとも安定し、だから人気のある住宅ローン。
住宅メーカーの建売住宅を買う人の多くがこれを利用する、もっともポピュラーな制度だ。
馬場家でも、「35年」というはるか彼方のような返済期間におののきながら、やはり金利が一定(すなわち、支払いが一定)の安心感に惹かれ、まずそれを申し込もうと思って調べ始めた。

がしかし、ここでも馬場家はつまずくことになる。

今の設計では、デザインや住宅性能としてフラット35の要件を満たさないのだ。
問題なのは、住宅金融支援機構が定める「独立行政法人住宅金融支援機構住宅技術基準規定」(名前が長い!)。
そのなかに、優良住宅技術基準なるものがあり、それを満たしていなければ、このローンの対象にならない。
例えば、断熱性能が一定以上な床、壁、天井でなければならない・・・という規定。
房総の馬場家は、周りの緑が借景で欲しいし、風通しもよく光がいっぱいにしようと思っているのでガラス比率が高い。引き替えに断熱性能は犠牲になっている。もちろん、基準を満たすはずもない。そもそもコンセプトが違うのだ。
いいじゃないか、親自然的で開放的な家でも。生活のために何を選択するかは、住む方の自由なのでは?

規定を読みながら腹が立ち始めているときに、さらに追い打ちをかけるように新たな条文が。
気に障ることに住宅金融支援機構が指定する設計事務所が、対象となる住宅が基準を満たしているか審査に来る、というのだ。
で、そいつはどこの誰なんだ!?
住宅金融支援機構は名前と反して、まったく支援してくれない・・・。

見ていて思ったのだが、例えば『新建築』や『住宅特集』に掲載されている住宅で、このフラット35の要件を満たす家はないだろう。
というか、住宅メーカーの商品化住宅しか無理なのではないか? という気さえしてくる。
住宅のデザインには、もっと多様性を認めて欲しい。

詳しくは、住宅金融支援機構(旧:住宅金融公庫)のフラット35のサイトを参照。
設計者の方は気をつけて、腹立ってきますから。
http://www.flat35.com/
まあ、普通の家族は建築家になんて設計を頼むなかれ、という国からのメッセージなのだろうか?

「住む」という行為は、ただ快適に食べて寝るだけではなく、文化や表現の一部であるということ。
そして「家」は、物体としてのストックではなく、人間が人生を生きるための舞台でもあることを、金融の面からも、政策の面からも理解して欲しい、と強く望みながら他の住宅ローンを検索するのであった。

ちなみに、房総の馬場家のプランはこれ。

027_01.jpg

027_02.jpg

まあ、フラット35は無理だよな、どう見ても。

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コメント

まもなく新築住宅が竣工する者です。フラット35の基準で延床面積70平米以上という部分ですでにあきらめてしまいましたが、その他にもいろいろと基準があるのですね。つまり狭小住宅はそれだけでだめということです。

こんにちは始めまして。

> 優良住宅技術基準なるものがあり、
> それを満たしていなければ、このローンの対象にならない

とお書きですが、「優良住宅技術基準」は
【フラット35】Sの金利優遇を受ける場合の基準ですよね?
【フラット35】自体には「開口部の」断熱性能の基準は無かったと思うので、
ガラス面(=開口部)が多くても
屋根や壁などが断熱してあればいけると思うのですが。
つまり

> ガラス比率が高い。
> 引き替えに断熱性能は犠牲になっている。

ということは問題にはならないのではないかと。

その他のスペックが分かりませんので断言は出来ませんが、
一般的な仕様であれば十分ローンの対象になると思います。
(守るのが大変なほどの大それた基準じゃないです)

雑誌はお見合い写真みたいなものなので
なかなか見えてこないかもしれませんが、
みなさんそれぞれ、断熱を始めとした性能確保に関しても
いろいろ考えていると思います。
・・・もちろん性能を気にしないというスタイルもアリですけど。

技術基準見たいなものを一般の方が読みこなすのは難しいと思うので、
よ~く設計者の方と相談してみてください。
たぶん上手くクリアーしてくれると思いますよ!

お、詳しい方ですね。
コメントありがとうごあいます。

そうそう、僕が対象にしたのは金利優遇のフラット35のほうです。気になったのが、金利設定が建物のデザインにつながっている部分でした。
(後々でてきますが)結局、馬場家は諸事情あって、25年ローンに落ち着いています。

もうすぐ洞爺湖サミットですが、今後建築業界はさらにきびしく環境問題への取り組みを問われてくるでしょう。自動車業界や家電業界などはすでにシビアな数値と戦っています。今、トヨタと仕事をしていますが彼らの環境への問題意識の高さ、本気度には驚かされるとともに、同じレベルを建築に適用され始めると、そもそも建築のデザインの方法論が変わってしまうのではないか、と危機感を感じざるを得ない。
このフラット35の「優良住宅技術基準」にも、その一端を垣間見ている気がしています。

そういう意味で、複雑な思いで、僕はこれらの基準を見ています。

このブログでは、ときどき、こういった部分にも言及していきたいと思ってます。
また、制度面などのアドバイスやコメント、よろしくお願いします。おそらく、多くの読者にとっては新鮮で役に立つネタだったりすると思いますから。

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このブログについて

東京R不動産のディレクターでもある馬場正尊が、ふとしたきっかけから房総に土地を買い、家を建て、生活を始めるまでのストーリー。資金調達から家の設計、周辺の環境や人々との交流、サーフィンの上達? まで。彼の人生は些細な気づきから、大きくそれていくことになる。馬場家の東京都心と房総海辺の二拠点生活はこうして始まった。

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著者紹介

馬場正尊